秘密の授かり出産だったのに、パパになった御曹司に溺愛し尽くされています

焦りのあまり、家族の前で秋人呼びをしてしまったことに気付くけれど、もう遅い。

秋人とは連絡も途絶えていたし、お店にくることもなかった。

完全に私を嫌いになったと思ったのに、彼はどうしてここにいるのだろう。

「結愛に言ったら、絶対に会えないと思ったからな、あやめちゃんに」

「まま、お兄たんくれた! うさたんとりすたんのお家!」

どうやらあやめは、秋人からクリスマスプレゼントを受け取った様だ。

部屋の中に戻ってゆき、その家を私に見せようと悪戦苦闘する声が聞こえてくる。

「わ、あやめ大丈夫だから。ママ、そっち行くからちょっと待って」

小さな体で重たい荷物を廊下に出すのは危ない。

急いで靴を脱ぎ、みんながいるリビングへ向かう。

部屋にはテーブルの上に、ごちそうがずらりと並んで、大きなクリスマスツリーの前に、プレゼントらしき紙袋がいくつも並んでいる。

「せっかくお家に来てくれたから、いっしょにご飯でもどうかしらって、言ってみたのよ」
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