秘密の授かり出産だったのに、パパになった御曹司に溺愛し尽くされています
池の傍にあった茶屋で軽い昼食をとり、一通り園内を見て回った私たちは、船着場からお台場行きの船に乗る。
十分ほどで下船し、予定通りの時刻に外資系ホテルにチェックインした。
今晩はここでディナーをとり、一泊する予定だ。
これも私の両親の計らいで、長らく会えていなかったので軽く旅行でもと提案してくれたから実現している。
結局私が行きたいところが近場だったので、都内のホテルで過ごすことになったのだけれど……。
「すごい綺麗。やっぱり夜景はお台場が一番かなぁ」
秋人の勧めでバルコニーに出た私は、思わず独り言ちる。
空は昼の水色と夕日の茜色が混ざり合い、淡い紫になっている。
豪奢なスイートルームに落ち着かなかったけれど、少しだけ冷静になれた気がする。
本当に、幸せだな。
視界いっぱいに広がるレインボーブリッジが点灯し、星のようにキラキラと輝き始めていた。
夜景を想像し高揚感を感じていると、背後からカラカラ……と、ドアが開かれる音が聞こえてくる。
「結愛、待たせて悪い」