秘密の授かり出産だったのに、パパになった御曹司に溺愛し尽くされています
風に乗って運ばれてきた華やかな香りに、息を吞んだ。
「秋人……」
大きな薔薇の花束を持った秋人が、優しい笑みを浮かべ私を見ていた。
「結愛、愛してる」
秋人に手渡された花束を、胸元に手繰り寄せる。
今まで誕生日にもらったときのと比べものにならない本数だ。
妖艶でいて優しさを感じさせる薔薇の香りは、この状況をよりロマンチックにしてくれる。
「ありがとう。こんな大きな花束……」
「……ずっと渡したかった。俺が結愛を想う気持ちはこんなんじゃ足りないけれど、少しでも伝わってくれたら嬉しい」
「うん。伝わってる……十分」
秋人と視線を絡ませ微笑み合うと、彼はポケットから正方形の白い小箱を取り出す。
蓋が開くと、大きなダイヤがあしらわれたリングが、太陽の光に反射し煌めく。
それを見た途端、鼓動がどくんと大きな音を立てた。
「結愛、結婚してほしい。君を絶対に幸せにする」