秘密の授かり出産だったのに、パパになった御曹司に溺愛し尽くされています

「秋人……」

胸が熱くなる。

復縁してから、あやめと三人で生活をしていく話はしていたけれど、結婚の話を具体的に進めることはできなかった。

それは秋人の父親と秋人が、ちゃんと私たちの事情を話せていなかったからだ。

「すごく嬉しい。けど、お父さんの問題は解決したの？」

「……完全にとはいっていないが、この前の話し合いの場ではここまできたら勝手にしろと言われた。他のものたちは一切俺の結婚にとやかく言ってこない」

秋人の瞳が陰る。

冷めたその表情は、普段私には見せることのない、孤独な経営者の顔だった。

秋人の父に対して完全に不安を払拭することはできないけれど、一歩進んだことは確かだ。

これから私は彼とどんな困難でも乗り切って見せる。

彼が苦しくなったとき、哀しいときは、妻として傍で支えていきたい。

秋人は覚悟を持って、私たちといることを選んでくれたのだから――。

「秋人、ありがとう。よろしくお願いします」