秘密の授かり出産だったのに、パパになった御曹司に溺愛し尽くされています
「私からも、心よりお詫び申し上げます」
秋人の父に続き、宮森さんも私たちに頭を下げる。
今まで絶対的に私たちの交際に反対していたふたりの真逆な行動は、ひどく動揺してしまう。
それは秋人も同じようで、何も言葉が出ないようだった。
でも、頑なに顔をあげようとしないふたりの姿を見て、心から伝えてくれているのだと感じる。
「……私たちは、大丈夫です。顔を上げてください」
私の言葉に、秋人は反射的に振り返った。
「結愛」
「もう過去は戻らない。大切なのは、私たちのこれからだから」
それは心からの言葉だった。
たしかに、秋人と別れた当時は言葉に尽くせないほどの辛さだった。
でも、今はこうして再会することができ、すでに新しいスタートを切っているのだ。
きっと三年前、順調に結婚して出産していても彼となら幸せになれた。
でも離れていたからこそ、大切な人が傍にいることが当たり前じゃないこと……。
そしてかけがえのない存在だということを、深く知ることができたのだ。
過去は振り返らない。
私は秋人とあやめといっしょに、前だけを見て歩いてゆく。
「私たちを……どうか、温かく見守って頂けると嬉しいです」