秘密の授かり出産だったのに、パパになった御曹司に溺愛し尽くされています
「どんな宣言?」
「愛妻家宣言」
俺は空いているほうの手で、そっと結愛を抱き寄せる。
驚いた彼女の頬に唇を当てると、大きな目が俺を捉えた。
「両手に花だね、秋人」
「ああ、本当は花よりも結愛を見ていたい。君を眺めているときが、俺にとって一番の至福だからな」
素直に思ったことを伝えると、耳まで真っ赤にした彼女は俺から急いで距離をとった。
「秋人、あやめを落とさないようにね」
「はいはい」
……ああ、なんてうちの妻は可愛いのだろう。
こんなにいっしょにいるのに、彼女は俺の言葉に反応して、未だに顔を真っ赤にして照れたりする。
あやめがいなかったら、その赤い耳も、ちいさな唇も、弁当より先に食べてしまうところだった……。
と、思わず口に出しそうになるが、結愛に怒られそうなので黙っておく。
「ぱぱ、なんで笑ってるの?」
視線の先にいる結愛の背中を眺めていると、あやめがつぶらな瞳を瞬かせながら、首を傾げていた。
「ん? ママが可愛いから」
「えぇーー! ままより、あやめのほうがかわいーもん!」
「ん、あやめも可愛いよ」
―――ふたりとも俺にとって、大切な花だ。
――ずっとずっと、この愛を育んでいきたい。
しばらく歩き、目的地の森林公園に到着した。
花見をした俺たちは昼食を済ませ、ピクニックシートの上で体を伸ばす。
あやめはボール遊びをして疲れたのか、ベビーカーの中ですやすや寝息を立てている。
「――ねぇ秋人、会場はこんなデザインが素敵かなって思ったんだけど……どうかな」