秘密の授かり出産だったのに、パパになった御曹司に溺愛し尽くされています

現場の防犯カメラは壊されていたが、別のカメラに雪平と葛城堂のイベント企画部の社員の姿が制作物を壊す映像がしっかり残っており、器物損壊容疑で警察に突き出すことができるような状況だった。

さすがに財閥の令嬢が逮捕となると、只事じゃなくなる。

Happit生命側は、必死で示談を申し立ててきた。

結愛と父と相談し、雪平が希望した通りで解決する方向に決まった。

しかし今後、俺と結愛の前には現れないと約束させて……だ。

ようやく俺たちに、平穏が訪れた。

一生懸命本を読み込んでいる彼女を、笑顔で眺める。

結愛はいつも一生懸命だ。

最近は、元々俺が経営していたフリマアプリで隙間時間に作った作品を売ったりもしている。

その売れ行きが好調で、先日アプリのWEBサイトにも紹介されたほど。

結愛がこれからどうやって花と携わっていくのか、活動の幅を広げていくのか……楽しみで仕方ない。

とそのときだった。

結愛が見ていた本から、一枚のしおりが落ち、俺の足に乗った。

「これは、結愛のか？」