秘密の授かり出産だったのに、パパになった御曹司に溺愛し尽くされています
花びらがラミネートされた、手作りのしおり。
少し年季が入っており、花は変色していた。
「あっ……そうなの。私のもの」
「結愛の手作り?」
「ん……うーん……うん……」
なぜか結愛は口ごもって恥ずかしそうにしている。
そんな顔を見せるなんて。俺に知られたら困る代物だと言っているようなものだ。
気になった俺は、視線を逸らした結愛の顔を包み込み、無理やり自分のほうに向けた。
「あ、秋人……?」
「このしおりに入っているのは、花だよな? 大事な花なのか?」
「うん……それは、もちろんね……」
結愛は潤んだ瞳で、ゆっくりと俺に視線を合わせる。
照れたり、戸惑った表情をする彼女に、その花の正体が余計に気になる。
首をかしげて彼女の答えを待っていると、小さな唇がうっすらと開いた。
「だってこれ、二十二歳になったときに、秋人にもらった薔薇の花だからね」
「え?」