秘密の授かり出産だったのに、パパになった御曹司に溺愛し尽くされています
「……あんな別れ方をしたんだ。一度、ちゃんと話したいと思っていた」
漆黒の鋭い瞳は、私をまっすぐ捉え瞬きひとつしない。
彼らしい誠実な姿を目の当たりにし、やはり心が動かされてしまう。
けれど。
「ごめんなさい、でも今は仕事中だし、私から話すことはないから」
そう告げて秋人のすぐ隣にいた来客に視線を向けると、彼もつられて横を見る。
「失礼しました」と会釈をした秋人は、再びこちらに向き直った。
「君がよくても、俺は納得できないんだ。仕事が終わってからでもいい、明日でも明後日でもいいから、少し時間をくれないか」
彼の私を見る目に、強い意志を感じる。
きっと少々強情な彼は、私が〝YES〟というまでここを動かないだろう。
「――分かった。十七時に仕事が終わるから、それからなら……」