秘密の授かり出産だったのに、パパになった御曹司に溺愛し尽くされています


そして約束の十七時ぴったりに、秋人は店に現れた。
今日はちょうど母が休みだったので、この時間はすでにあやめのお迎えは終わっている。
母には相手が秋人ということは隠し知人とお茶をして帰ると告げた。

とはいえ長い間時間を空けるとあやめが寂しがり手が付けられなくなるので、のんびりはできない。

「あまり時間がなくて……。手短に話せるところがいいんだけど」

歩き出した秋人に告げると、彼は表情を変えず振り返った。

「ああ、分かった。カフェかどこかで話そう」

「ありがとう」

店に移動している間は、お互いに一言も発しなかった。
何を話したらいいのか分からない、というのが正しい。

重苦しい空気の中、貴船フラワーの近くにある古びた喫茶店に入った。

「……三年前、急にいなくなってショックだった」
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