秘密の授かり出産だったのに、パパになった御曹司に溺愛し尽くされています
全て言い切ると、速くなった心臓の音が体に響いて、息があがった。
けれど今ばかりは、いつも以上に冷静にならなくてはいけない。
黙って私の話を聞いていた秋人は、さらにもう一口コーヒーを飲んで、落ち込んだように首を垂れた。
「……そういう理由だったんだな。結愛を傷つけて申し訳ない、そして不信感を持たせてしまったことも」
秋人が視線を上げたと同時に、どくっと心臓が跳ねた。
鋭い瞳に、先程にはなかった熱が灯っているのを感じたから。
「今は訳あって親父の跡を継いだが、あのときは家業を継ぐつもりはまったくなかった。結愛とふたりで生きていきたいと思っていた」
「秋人……」
真っ直ぐな言葉に、胸がぎゅっと締め付けられる。
駄目だと分かっているのに、奥底にしまい込んだ彼への感情が、ふつふつと湧き上がってしまう。
そんな私に畳みかけるよう、彼は口を開く。
「あれから一日たりとも忘れたことはない。俺はずっと、君を想ってる」