秘密の授かり出産だったのに、パパになった御曹司に溺愛し尽くされています
夢のような言葉に一瞬放心状態になるも、気を取り直して彼の瞳を見つめた。
「で、でも! 秋人も結婚とか、あるでしょ……? Happit生命の方と婚約したとか」
「それはない。結愛としか一緒になりたくなかったから、元から婚約をするつもりはなかった」
う、そ……。
秋人ははっきりと言い切ると、動揺する私の手に触れかけ、ぎゅっと拳を握った。
「好きだ、結愛」
「だめ……だめなの、秋人」
「……他に、付き合っている男がいるのか」
秋人は低い声でそう呟くと、哀し気に揺れる瞳で私を見つめる。
そんな目で見ないで。
私だって。本当はあなたのことを今だって想ってる。
「付き合っている人がいる」と言えば、きっとわかってくれるだろう。
でも。どれだけ時間をもらっても、自分の口からは彼にそう告げることは出来なさそうだった。
「い、いない。でも……子供がいるの」
「え?」
秋人が息をひそめたのを感じ、胸が切り裂かれるほど痛む。
「あなたと別れて、すぐにお付き合いした人の子なの。……あなたは大企業の御曹司なんだし、既に人の子を育ててる私をわざわざ選ばなくてもいい。私のことは忘れてください」