秘密の授かり出産だったのに、パパになった御曹司に溺愛し尽くされています
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あれから一週間が経ち、私は秋人に再会する前のありふれた日常を送っていた。
「――わぁ、やっぱり瀬名ちゃんってセンスあるよね。めちゃくちゃインスタ映えしそう」
「はは、ありがとうございます」
今は先輩たちと一緒に作業部屋で再来月に迫るクリスマスに向けて、リース作りを行っている。
午前中は制作を続け、午後からは店頭に立つ予定だ。
ふぅ……少し手が痺れてきたな。
リースはひとつひとつ手作りで、大体二日から三日かけて丁寧に完成させる。
作った品は店頭販売のほかに、お店の公式HPから購入することができ、まだ新人に近い私も参加させてもらっているのだ。
幸いなことに、自分が作った商品は今のところほとんど買い手が見つかり、今まで店頭に立つことが中心の生活で忘れかけていた、作品作りの楽しさを思い出してきた。
あやめもお父さんもお母さんも変わらず元気だし、仕事も楽しい。
でも……以前とは何か違う、満たされないのだ。
秋人は、あれから一度もお店に現れていない。
私が秋人以外の男性との間に子がいると信じ、諦めてくれたようだ。
喜ばしいことなのに、どうしてこうも悲しいのだろう。
自分の感情と、三年前に私が秋人に行った行動、そして先日吐いた嘘……。
考え出すと、矛盾ばかりの自分が嫌いになりそうだ。
思わず手に持ったペンチを握りしめたとき。
作業部屋のドアが開く音が耳に届き、反射的にそちらを見る。
「みんな、いるか? 新しく決まったイベントのことでちょっと」