秘密の授かり出産だったのに、パパになった御曹司に溺愛し尽くされています
「……っ、それは、もちろんです! よろしくお願いします」
「いい返事だ。瀬名は初めての参加だから、みんなも支えてやってくれ。忙しくなるぞー」
店長の言葉に、先輩たちは笑顔で応えてくれる。
温かい職場に恵まれて幸せを感じながらも、秋人のことを必死で頭から追い出す。
これはただの偶然よ。
本当に葛城堂の人が、Happit生命のイベントでうちのお店に目にかけてくれたのかもしれない。
――そこから私は、バレンタインフェアのイベントの制作に携わることになり、多忙を極めていった。
店長は子供がいる私を配慮して、勤務時間は以前と変わることはなかった。
販売に立つよりも裏でアイデアを練ったり、イベントに向けての準備をすることが増え、本来やりたかったことに近い作業ができるようになっていった……。
けれど常に、葛城堂や彼の存在が私の近くに佇んでいた。
そんな生活が数週間すぎ、気づいたら十一月中旬……。
「いらっしゃいませ! 今日はどんなお花を、お探しでしょうか?」