秘密の授かり出産だったのに、パパになった御曹司に溺愛し尽くされています
その端正な顔を見た瞬間、体に雷が落ちたような衝撃が駆け抜けていく。
「……っ!」
「……え?」
私を捉えた切れ長の瞳は、訝し気に細められ、すぐに大きく見開いてこちらを凝視した。
私も私でまったく非現実的なこの状況が受け入れられず、ただただ彼を見つめるだけだ。
あきと。
その三文字が喉元ぎりぎりまで這い上がって来るけれど、とっさに嚥下する。
しかし彼は違った。
「結愛? 結愛なのか?」
「っ!」
はっきりと名前を呼ばれ、どくんっと大きく心臓が跳ねた後に、全身の震えが遅れてやってくる。
「ち、違います!」
とっさに出た言葉を、戸惑った様子の彼にぶつけ全速力でその場から逃げ出した。
すごく足が長くて、百八十センチはゆうに超える長身。
そしてあのエキゾチックな顔立ちも。
私を呼んだ、あの低くて艶のある声も……知っている。
秋人に再会してしまった。