秘密の授かり出産だったのに、パパになった御曹司に溺愛し尽くされています

秋人に断りを入れ、母からの電話に出る。

『あっ、もしもし結愛、今どこ? もしかして職場?』

「ううん、早く上がらせてもらって車で自宅まで送ってもらってる。どうしたの?」

『私今日シフト間違えてて、休みだったのよ。だから早めに職場でお昼だけ食べてあやめを保育園に迎えにきたら、ビックリしちゃった。高熱出してるもんだから』

ここまで送ってもらった秋人には申し訳ないが、母の言葉に胸を撫でおろす。

「あぁよかった……私もさっき先生から電話をもらって急いで病院に連れて行こうと思ってたのよ。それで今、お母さんはどこにいるの?」

『家に戻ってきて今からあやめを自転車で小児科に連れて行くところよ。あやめはちょっと元気ないけど、案外平気そうだわ』

「そうなの。よかっ……」

言いかけたそのとき、窓の向こうに木造二階建ての実家が見えてきた。

そして、ママチャリの前かごにあやめを乗せた母の姿も。

「っ!」

「着いたぞ、結愛。ここで合ってるか?」
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