秘密の授かり出産だったのに、パパになった御曹司に溺愛し尽くされています
私はこういった空間プロデュースに参加するのは初めてで、貴船店長が私のシフトの休みに合わせついて来てくれることになった。
今回設置するのは、本館七階にあるイベントスペースと、西館に繋がる連絡通路一帯。
作業の注意点や、作業の詳しい流れの説明を受けながら、既に完成したデザイン案とともに頭の中でイメージを固めていく。
今回はただの手伝いではなく、デザイン案の会議にも参加して意見を述べさせてもらった。
先輩は私の意見も積極的に取り入れてくれて、本格的にメンバーに入った実感をひしひしと感じている。
「……そういえば、花と材料の発注は誰がやっているか知っているか?」
イベントスペースに到着するなり店長に尋ねられ、スマホのメモを急いで確認する。
「西野さんと香川さんが担当してくれています。先週の金曜に済んでるはずです」
「あいつらはベテランだから安心だな。この時期にミスったら命取りだ」
年末年始を挟むため、問屋への発注も早い段階で済ませなければならないのだ。
イベントずくしで店舗も目が回るほどの忙しさだが、制作時期が近いこともあって大きなミスがないよう、慎重に動く必要がある。
「……瀬名が作った商品は一番売れ行きがいいからな。今回のイベントのアイデアもなかなか斬新だったし、楽しみなんだよ」