秘密の授かり出産だったのに、パパになった御曹司に溺愛し尽くされています

秋人の提案に、みなが驚いた顔をしていた。

特にその場を解散させようとしていた女性は、絶句してその場に固まっている。

「あぁ、私の方での業務は終わったところです。瀬名の予定が空いていれば、ですが……」

店長は笑顔で振り返り、私に返事を促す。

すべてを思い通りに円滑に済ませようとする秋人を、私は真っ直ぐ見つめ返した。

もう、この際彼にはっきり言おうと心に決める。

秋人に会っていないこの一週間。

いろんな感情がぐちゃぐちゃになったりしたけれど、やはり彼の気持ちに応えることはできない。

互いの今の幸せな生活が壊れることだけは、絶対に避けなくてはいけないのだ。

「分かりました。時間はあるので、葛城社長……ご案内頂けますか?」
< 69 / 176 >

この作品をシェア

pagetop