秘密の授かり出産だったのに、パパになった御曹司に溺愛し尽くされています
「あやめ、頑張ったねぇ」
彼女の目線に合わせ腰を屈めると、小さな体で膝をぎゅっと抱きしめてくる。
ぷっくりとしたほっぺを摺り寄せる仕草を見て、愛おしい気持ちが胸に広がるのだ。
仕事の疲れも、我が子の姿を見るだけで吹っ飛んでいくから不思議だ。
「お姉さんたちと少し積み木で遊んで、あとは塗り絵を頑張りましたよ」
「そうですか、上手に出来たねあやめ! 先生、長い時間ありがとうございます」
「ばーばい! せんせー!」
保育士の先生に挨拶を済ませ、あやめの手を握ってその場をあとにする。
保育園に入園できたのは半年前の四月だ。
そして私がフルタイムで働き出せたのも同時期。
働きに出ている両親に協力してもらいながら交代であやめを送り迎えをしている。
妊娠から出産。そして仕事も安定し、ようやく生活の基盤が出来上がった。
けれど……。
「……どうしたの、結愛。ぼうっとしちゃって」