秘密の授かり出産だったのに、パパになった御曹司に溺愛し尽くされています
急いで部屋の角に隠れたけれど、あやめはすぐに私をみつけ、背中に体当たりしてくる。
「おんぶちてっ、おんぶ!」
甘えてくるあやめに口の前で「しっ」とジェスチャーするけれど、引き下がる様子はない。
すると電話の向こうで、喉の奥で笑うかすかな声が聞こえてきた。
『あやめちゃん、近くにいるのか? 少し替わることはできるか?』
「えっ、あやめと……?」
『あぁ、あんな可愛い写真を見たら、直接話したくなる』
思ってもみない申し出に驚きつつ、秋人との通話を辞める。
スピーカーにしたいところだけれど、近くに父も母もいるので、しゃがんであやめの小さな耳にスマホを当てた。
「あやめ、お兄さん。ラビィの彼氏」
私が補足すると、あやめはぱぁと笑顔を咲かせ、小さな手でぎゅっとスマホを掴む。
「もちもーち?」
『あやめちゃん。お洋服着てくれてありがとう。うさたんとりすたんが好きだと、ママに聞いたよ』
「うん! だいしゅき! あらいぐまのるるくんもすき」
『るるくん?』