秘密の授かり出産だったのに、パパになった御曹司に溺愛し尽くされています
「そんな、大げさだよ」
動揺を悟られないように、努めて明るく振舞う。
『大げさじゃないよ、結愛。愛してる』
「……っ」
彼の緊張が滲んだ硬い声は、私の胸を甘く疼かせ、呼吸を乱す。
こちらが息を呑んだのと同時に、返事を待たずして『おやすみ』と、艶のある声が耳に届いた。
「おやすみ、秋人。ゆっくり休んで」
『ああ、結愛も。また連絡する』
彼の宣言が聞こえ、ぷつりと電話が途切れた。
光ひとつない冷え切った部屋にいるのに、額に汗がにじむ。
今、母に顔を見られたら、絶対に余計なことを言われるに違いない。
全身が熱い。
心地よい胸の疼きが収まるのを待ち、私はあやめが待つ部屋に戻っていった――……。