秘密の授かり出産だったのに、パパになった御曹司に溺愛し尽くされています
雪平さんの言葉に、表情が固まる。
どうして彼女がそのことを知っているのだろう。嫌な予感しかしない。
ひっそりと息を吐き、平常心をと言い聞かす。
「なんのことでしょうか? 葛城さんは昔の友人で今は取引先として仲良くして頂いているだけですよ」
上手く言い切ると、雪平さんは不服そうに顔を歪め、さらに煽るような視線を向けてきた。
「へぇ、じゃあよほどお店が気に入っているのかしら? イベント関連もこちらのお店に鞍替えする熱の入れようだし」
何も言わずとぼけていると彼女は納得がいかない様子で、店内へ視線を投げた。
「今日はお花が欲しくてきたんですの。真っ赤な薔薇の花束をお願いしたいわ」
「え……?」