秘密の授かり出産だったのに、パパになった御曹司に溺愛し尽くされています
秋人は私の言葉にわずかに眉を顰めた。
細まった瞳が戸惑いで揺れている。
「どういうことだ?」
頭に血が上り、ぎりぎりで保っていた理性が焼き切れていく。
「雪平さんとはご家族同士の公認の仲なんでしょう? だったら、こうして私に構わない方がいいと思う」
全然平気でもないのに、皮肉めいた笑みが浮かぶ。
嫌な女になっている自覚はあるけれど、口火を切ってしまった以上、もう止められない。
「結愛は何を言っている?」
「雪平さんから色々聞いたの。秋人から薔薇の花束を旅行中にもらったとか、なんとかって……それで、私が急に現れたからって、好きだとか、愛してるとか勘違いさせるような言葉を言ったりして......」
怒りなのか、悲しみなのか分からない。
視界がぼやけ、涙で薄い膜が張る。
十分秋人から愛されているのに、彼を信じられない自分に失望しているのはたしかだ。
考えないようにしたいのに、雪平さんの言葉が忘れられない。
秋人から離れられることもできない自分がとても、弱い。
「私と秋人は釣り合わない。だからもう、会わな……」
涙がこぼれる直前に、唇を塞がれた。
離れようとする私を捉えるようにして、強く腰を抱かれる。
「んっ……ふっ……!」
角度を変えた秋人に唇をねじ込まれる。
息を吸おうとした拍子に、深くしめったそれが中を蹂躙した。
今まで耐えていた彼の想いが、私の中に濁流のように流れ込んでくる。
「っ……俺は結愛しか見てない」