元傾国の悪女は、平凡な今世を熱望する
「首尾は?」
「上々。あとは20時を待つだけだ」
見知らぬ魔法使いの問いにオースティンが答える。わたしたちよりも少し年上。恐らくは学園を卒業し、既に国のために働いている魔法使いのようだ。
ここにいるのは見た感じ平凡な魔法使い達ばかりだけど、彼等の目には野望が見え隠れする。わたしは姿を消したまま、息を潜めて彼等の会話に耳をそばだてた。
「国王は間違いなく来るんだろうな?」
「あぁ。今はエルヴィス――――第二王子が通っているし、学園祭での挨拶は伝統行事だ。間違いなく来るだろうよ」
オースティンは煙草を咥えつつ、そんなことを口にした。わたしの知っているオースティンとは似ても似つかない言動に、胸の動悸が収まらない。敬意のかけらも感じられない声音に身体が震えた。
「いい気なもんだな。王族、貴族って言うだけでちやほやされる。
だが、俺たち魔法使いが奴等の支配下に置かれるのも今日で終わり。これからは俺たちがこの国のトップに立つんだ」
(えぇっ⁉)
心臓がバクバク鳴り響く。叫び声を飲み込みつつ、わたしは目を見開いた。
「上々。あとは20時を待つだけだ」
見知らぬ魔法使いの問いにオースティンが答える。わたしたちよりも少し年上。恐らくは学園を卒業し、既に国のために働いている魔法使いのようだ。
ここにいるのは見た感じ平凡な魔法使い達ばかりだけど、彼等の目には野望が見え隠れする。わたしは姿を消したまま、息を潜めて彼等の会話に耳をそばだてた。
「国王は間違いなく来るんだろうな?」
「あぁ。今はエルヴィス――――第二王子が通っているし、学園祭での挨拶は伝統行事だ。間違いなく来るだろうよ」
オースティンは煙草を咥えつつ、そんなことを口にした。わたしの知っているオースティンとは似ても似つかない言動に、胸の動悸が収まらない。敬意のかけらも感じられない声音に身体が震えた。
「いい気なもんだな。王族、貴族って言うだけでちやほやされる。
だが、俺たち魔法使いが奴等の支配下に置かれるのも今日で終わり。これからは俺たちがこの国のトップに立つんだ」
(えぇっ⁉)
心臓がバクバク鳴り響く。叫び声を飲み込みつつ、わたしは目を見開いた。