元傾国の悪女は、平凡な今世を熱望する
「……殿下、ここは生徒会室じゃないですよ?」
殿下が自分を見せるのは、わたしやレオン達の前でだけ。こんな、誰が見てるとも限らない、庁舎の中で見せて良い顔じゃない。
「大丈夫だよ。俺、もう殿下じゃないもん。今日から俺もここで働くんだ」
「はぁ⁉」
思わぬ言葉に、わたしは思わず叫び声を上げる。
(殿下が、殿下じゃない⁉)
答えを求めて殿下を見上げると、殿下は困ったように笑った。
「王室きっての問題児だからな、俺。離脱しまーーすって言って抜けてきた」
「なっ……な、なんで、そんなこと……!」
先程よりも勢いよく、心臓がざわざわと騒ぎ始める。一体なにが、この男にそんな行動を取らせたのか。考えれば考えるほど、頭の中が沸騰しそうだ。
「――――幸せになりたかったから」
殿下はそう言ってわたしの手を握った。
殿下が自分を見せるのは、わたしやレオン達の前でだけ。こんな、誰が見てるとも限らない、庁舎の中で見せて良い顔じゃない。
「大丈夫だよ。俺、もう殿下じゃないもん。今日から俺もここで働くんだ」
「はぁ⁉」
思わぬ言葉に、わたしは思わず叫び声を上げる。
(殿下が、殿下じゃない⁉)
答えを求めて殿下を見上げると、殿下は困ったように笑った。
「王室きっての問題児だからな、俺。離脱しまーーすって言って抜けてきた」
「なっ……な、なんで、そんなこと……!」
先程よりも勢いよく、心臓がざわざわと騒ぎ始める。一体なにが、この男にそんな行動を取らせたのか。考えれば考えるほど、頭の中が沸騰しそうだ。
「――――幸せになりたかったから」
殿下はそう言ってわたしの手を握った。