【コミカライズ決定】本日をもって守護騎士を解任します。悪役令嬢の運命に巻き込みたくないので。

「――――お嬢様」

 心配そうに、侍女のミミが私を見つめながら思わずといったふうに口を開いた。

「……分かりました。今すぐ準備をいたします」

 私は、たくさんあるドレスを選ぶために、衣装室へと向かう。
 いつも、ドレスは誰かに選んでもらっているけれど、もしも断罪されてしまう運命なら。

 藍色のドレス……。
 どのドレスよりも気合を入れて注文したけれど、決して袖を通すことはないと諦めていたその色。
 クローゼットの奥に隠すように置かれているそのドレス。

 最後の日には絶対にこのドレスを着たいと思っていた。

 私が藍色のドレスを纏って、エントランスに現れると、なぜか父が目を見開いた。
 そんなにおかしいだろうか。

 すべての装いを最上級にした。
 赤く燃えるような髪の毛は、高く結い上げて、私の瞳の色をしたターコイズブルーの宝石を身に着けて。
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