【コミカライズ決定】本日をもって守護騎士を解任します。悪役令嬢の運命に巻き込みたくないので。
公爵家令嬢であることを、誰もが認めるだろう最上の装い。
あまりに厳しい指導に密かに泣きそうになって、あの庭園の隠れ場所に逃げ込みながら、身に着けてきた公爵家令嬢としての所作。
「お前は本当に王妃がふさわしい。すべてを持っているのに……惜しいな」
父が悔しそうに、それなのになぜか少し微笑みながら私にそう言った。
買いかぶりすぎではないですか? それに何で笑っているんですか?
そんな困惑を押し隠して、私は優雅に微笑む。
国王陛下が、まだ王太子の婚約者にさえなっていない私を呼んで何を言おうというのかまったくわからないままだけれど。
後悔がないと言えばうそになる。
本当は怖いから逃げてしまいたかった。
いつまでも、大好きな幼馴染と一緒にいたかった。
でも、新聞の一面を飾ったエディルの活躍が私に勇気をくれたから。
――――推しが頑張っているのだから、私だって頑張らないといけないわ。
公爵家の馬車に乗り込み、私は一人決意を固めるのだった。
大会の優勝者は神の前で宣言する。