【コミカライズ決定】本日をもって守護騎士を解任します。悪役令嬢の運命に巻き込みたくないので。
「俺は、シルフィーナ・レイドルを愛している!」
「…………ふえぇぇぇぇ?!」
私の横にいた、お父様はため息をついたけれど、何も言ってはくれない。
陛下まで、なぜか壇上から宣言してくる。
「リーディルト王国の神の代弁者として、二人の婚約を認めよう」
「…………ひえぇぇぇぇ?!」
「……少し黙っていようね? シル」
世紀の問題発言をした幼馴染が、かつて私が失敗するのを笑いながら見ていた時みたいなまなざしで、私を見つめながらそんなことを言った。
――――だって、エディルのせいですよ?!
乙女ゲームの中で、決してエディルはシルフィーナと主従関係の一線を越えようとはしなかった。
それなのに、こんな取り返しがつかない状況で、愛の告白をするなんて!
えっ、愛の告白……だよね?
冷や汗をだらだら流しながら、やっぱり夢を見ているのではないかと思い始めた私の耳元に、エディルが唇を寄せて囁く。
「ほら、俺のことを遠ざけようとするからいけないんだよ? 君を俺から守っていた守護騎士の誓いを解いてしまうなんて、シルは本当に身の程知らずだよね?」
――――え? そんなに恨まれるようなことありました? 守護騎士の誓いがないといけないほど。
混乱して、思考を手放してしまった私は、再び奇声を発しそうになる。
その声を塞いでしまったのは、甘くてしびれてしまうような口づけだった。
観衆が大きな歓声を上げる中、「さすがにキャパオーバー……」とつぶやいた私は、意識を失ってしまった。