【コミカライズ決定】本日をもって守護騎士を解任します。悪役令嬢の運命に巻き込みたくないので。
守護騎士解任の結果。
英雄が帰還する。
手紙が届いた数日後、私の元にも知らせが来た。
けれど、出迎えようにもこのお屋敷から出ることを許されていない私は、凱旋のパレードを見に行くこともできない。
「エディル……」
早く無事な姿が見たい。
私の運命に巻き込んで、ひどい目になんて合っていないって、無事な姿を早く見せて安心させてほしい……。
今頃、騎士団の凱旋パレードは王都の中に入った頃だろうか。
そんなことを思って空を見上げた時、急に後ろから抱きしめられた。
「きゃ!」
「――――シル。ちゃんとここにいてくれてよかった」
「エディル?!」
その声は、パレードに参加しているはずの幼馴染のものだった。
「……え? エディル。今回の最大の功労者のはずのあなたが、パレードにも参加しないでなんでこんなところにいるの?」
「――――シルが、もしかしてここから逃げだしてしまっているのではないかと、居ても立っても居られなくて」
「冗談にしてもたちが悪いわ……」
「ごめん……本気だ」
その、美しい藍色の瞳を見つめる。
思わず、怪我がないのか上から下まで見てしまったのは、不作法なのかもしれない。
「――――怪我なんて、してない?」
「してないよ。なに、心配してくれるの」
「心配するに決まっているでしょう?! 何も言わずに戦場に行ってしまうなんて」
「――――何も言わずに、俺を守護騎士から解任したくせに」
それを言われると私も弱い。
でも、それはあなたを悪役令嬢とともに堕ちる運命から救いたいからで。