【コミカライズ決定】本日をもって守護騎士を解任します。悪役令嬢の運命に巻き込みたくないので。
「エディル……二人だけでひっそりと結婚式を」
「……ごめんね? 王家とレイドル公爵からシルとの婚約をもぎ取った条件が、戦果を挙げることと、公爵家令嬢と英雄の繋がりを知らしめることだったんだ」
もぎ取ったって、まるで景品みたいだわ。でも、守護騎士を解任されたエディルと私の身分はたしかに釣り合わない。
よほど、王家や公爵家にとって利点がなければ、認められることなんてないのだと、私は知っている。
だから、エディルは、人生の伴侶になる道を諦めて、守護騎士として私に人生を捧げてくれていたのだから。
私の目の前にしゃがんだエディルが、その手を差し伸べてくれた。
いつも、守護騎士としてのエディルは、私に今みたいに手を差し伸べてくれたから……。
私はその手を取らなかった。
代わりに思いっきり、その胸へと飛び込む。
その勢いで、不安定な体勢でしゃがんでいたエディルのことを、押し倒してしまった。
二人で、芝生の上で思いっきり笑う。
エディルが守護騎士になる前、まだ私たちが幼馴染だった時みたいに。