【コミカライズ決定】本日をもって守護騎士を解任します。悪役令嬢の運命に巻き込みたくないので。
「好きだ……。シル」
「私もエディルが好き」
いつも一人、この場所で涙をこぼすまいと、自分を奮い立たせていた。
思わず、涙がこぼれてしまう。
でも、これは悔し涙でも悲しみのあまり流した涙でもない。
その涙は、甘くて温かい。
だって、嬉し涙なのだもの。
「さ、ウェディングドレスの採寸に来てくれているよ?」
「その前に、エディルは着替えないと」
エディルの背中は、泥と芝で汚れてしまった。たぶん、使用人たちに呆れられてしまうだろう。
「そうだね」
そうして笑ったエディルに釣られて、私は涙を拭うともう一度、大好きな人へと笑顔を向けた。