悪役令嬢にならないか?
お茶会への誘い
 ――まずは、取り巻きを作るべきだ。
 それはウォルグが最初に提案した内容だった。
 だが、残念ながらリスティアには特別仲の良い友人はいない。侯爵家の娘であるのに、取り巻きもいないし、取り巻きになってくれそうな人物に心当たりもない。
 正直にウォルグに伝えると、彼は自分にまかせて欲しいと言った。
 その言葉を信じた結果が今に至る――。
 王城の庭園にある東屋(ガゼボ)。さわりと風が吹けば、ほのかな花の甘さが漂う空間。
 学園の休みの日を利用して、リスティアはここを訪れていた。正確には招待を受けた。
「あなたとお話をしたいと思っていたのよ」
 リスティアの目の前には、エリーサがいた。エリーサの隣には、この国の王妃、つまりウォルグの母親がにこやかに微笑んでいる。
 さらに、エリーサが仲良くしている令嬢たち。リスティアも同じクラスであったが、あまり言葉を交わしたことのない彼女たちだ。
 一つの大きな白くて丸いテーブルを取り囲むようにして、リスティアたちは座っていた。
 ここからは、庭園の花もよく見える。手入れが行き届いており、世話する者の人柄もよくわかる庭である。
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