悪役令嬢にならないか?
――君が悪役令嬢になることは、誰にも知られてはならない。だから、こっそりと練習する必要があるんだ。
彼の言葉に素直に頷いたリスティアは、エリーサとの約束がない日は地下書庫に来ていた。
毎日のように練習をすれば、少しずつ成果は現れるもの。最初の頃はウォルグの足を踏んでばかりだったが、今ではそんなことはなくなった。彼の動きに合わせてステップを踏み、彼に身体を預け、彼と共に舞う。
狭い空間だからこそ、彼と密着する必要がある。少しだけドキドキする瞬間はあったが、ウォルグのほうは涼しい顔をしているため、リスティアはできるだけ意識しないようにしていた。そうでなければ、立派な『悪役令嬢』にはなれない。感情を顔に出してはならないのだ。
「少し、休憩しようか」
地下書庫は飲食厳禁である。書庫から出た回廊の石造りのベンチで二人並ぶと、そこで水分補給をする。
ダンスの練習をするようになってから、ウォルグはリスティアの水筒も準備していた。王子である彼にそこまでやらせていいのだろうかと思っていた時期もあったが、ウォルグが気にするなと何度も口にしたため、今では素直に好意に甘えている。
彼の言葉に素直に頷いたリスティアは、エリーサとの約束がない日は地下書庫に来ていた。
毎日のように練習をすれば、少しずつ成果は現れるもの。最初の頃はウォルグの足を踏んでばかりだったが、今ではそんなことはなくなった。彼の動きに合わせてステップを踏み、彼に身体を預け、彼と共に舞う。
狭い空間だからこそ、彼と密着する必要がある。少しだけドキドキする瞬間はあったが、ウォルグのほうは涼しい顔をしているため、リスティアはできるだけ意識しないようにしていた。そうでなければ、立派な『悪役令嬢』にはなれない。感情を顔に出してはならないのだ。
「少し、休憩しようか」
地下書庫は飲食厳禁である。書庫から出た回廊の石造りのベンチで二人並ぶと、そこで水分補給をする。
ダンスの練習をするようになってから、ウォルグはリスティアの水筒も準備していた。王子である彼にそこまでやらせていいのだろうかと思っていた時期もあったが、ウォルグが気にするなと何度も口にしたため、今では素直に好意に甘えている。