悪役令嬢にならないか?
「ちょ、ちょっと。なんなのよ……」
一人取り残されたミエルは、きょろきょろと周囲を見回す。挙動不審な小動物のようである。
「せっかくの舞台ですから、この場で真実を明らかにしたほうがよさそうですわね」
エリーサをアルヴィンに託したウォルグも、リスティアを見守るかのように彼女の後ろに立った。
背中から、力強さを感じた。ウォルグがいるから大丈夫。そう思えるから不思議だった。
「ミエル・オスレム。そして、オスレム男爵。あなたたちには、横領の罪と違法薬物の製造と使用の罪がかけられています」
リスティアは閉じた扇の先を、ヒシッとミエルに突きつけた。ミエルの後方には、真っ青な顔色のオスレム男爵がいる。
「何を……、何を証拠にそんなことを……」
青い顔をしたオスレム男爵が、ぼそぼそと口にする。
証拠が云々と言い出した時点で、罪を認めているようなものである。だが、リスティアはその証拠を手に入れていた。
きっかけは地下書庫の歴史書の書棚であった。地下書庫に訪れる者はいないと思ったのだろう。書棚に不規則に並んだ禁帯出の古代史の本が、リスティアは気になった。パラパラとページをめくると、マキノン時代の解説ページに怪しい紙切れが挟まれていた。何かの領収書のようにも見えるが、リスティアはそれを見ただけで、不正な金の動きを察した。その領収書のようなものは、地下書庫にあるいくつかの本に挟まれていた。リスティアはそれをすべて回収できたはずだと思っている。
一人取り残されたミエルは、きょろきょろと周囲を見回す。挙動不審な小動物のようである。
「せっかくの舞台ですから、この場で真実を明らかにしたほうがよさそうですわね」
エリーサをアルヴィンに託したウォルグも、リスティアを見守るかのように彼女の後ろに立った。
背中から、力強さを感じた。ウォルグがいるから大丈夫。そう思えるから不思議だった。
「ミエル・オスレム。そして、オスレム男爵。あなたたちには、横領の罪と違法薬物の製造と使用の罪がかけられています」
リスティアは閉じた扇の先を、ヒシッとミエルに突きつけた。ミエルの後方には、真っ青な顔色のオスレム男爵がいる。
「何を……、何を証拠にそんなことを……」
青い顔をしたオスレム男爵が、ぼそぼそと口にする。
証拠が云々と言い出した時点で、罪を認めているようなものである。だが、リスティアはその証拠を手に入れていた。
きっかけは地下書庫の歴史書の書棚であった。地下書庫に訪れる者はいないと思ったのだろう。書棚に不規則に並んだ禁帯出の古代史の本が、リスティアは気になった。パラパラとページをめくると、マキノン時代の解説ページに怪しい紙切れが挟まれていた。何かの領収書のようにも見えるが、リスティアはそれを見ただけで、不正な金の動きを察した。その領収書のようなものは、地下書庫にあるいくつかの本に挟まれていた。リスティアはそれをすべて回収できたはずだと思っている。