悪役令嬢にならないか?
「ウォルグ様……」
あまりにも自然な振る舞いに、すんなりとそれを受け入れていた。突然、彼に触れられても嫌な気持ちはしなかった。むしろ、すべての緊張が解け、彼に寄り掛かりたい気分である。
「わたくし、立派な『悪役令嬢』になれましたか?」
リスティアも彼の背に手を回して、見上げる。
「ああ。立派な『悪役令嬢』だった。だが、言っただろう? 悪役令嬢になるにはまだ足りないものがあると」
悪役令嬢に婚約者からの断罪はつきものだし、その婚約者との婚約破棄も漏れなくついてくる。
「なんでしょう?」
リスティアはしばし考える。
「さぁ、なんだろうな。やはり僕にとって君は悪女だな。責任をとってもらいたいものだ」
それが、悪役令嬢であるリスティアへ対する断罪だろうか。となれば、断罪をつきつけたウォルグは、リスティアにとっての――。
「君は、僕の心を振り回してばかりいる。今もどうなることかと思って見守っていた。だけど、君を信じる僕もいた。だからこそ、君に足りないものに気づいて欲しいと思っている」
ウォルグの口元は綻んだ。
あまりにも自然な振る舞いに、すんなりとそれを受け入れていた。突然、彼に触れられても嫌な気持ちはしなかった。むしろ、すべての緊張が解け、彼に寄り掛かりたい気分である。
「わたくし、立派な『悪役令嬢』になれましたか?」
リスティアも彼の背に手を回して、見上げる。
「ああ。立派な『悪役令嬢』だった。だが、言っただろう? 悪役令嬢になるにはまだ足りないものがあると」
悪役令嬢に婚約者からの断罪はつきものだし、その婚約者との婚約破棄も漏れなくついてくる。
「なんでしょう?」
リスティアはしばし考える。
「さぁ、なんだろうな。やはり僕にとって君は悪女だな。責任をとってもらいたいものだ」
それが、悪役令嬢であるリスティアへ対する断罪だろうか。となれば、断罪をつきつけたウォルグは、リスティアにとっての――。
「君は、僕の心を振り回してばかりいる。今もどうなることかと思って見守っていた。だけど、君を信じる僕もいた。だからこそ、君に足りないものに気づいて欲しいと思っている」
ウォルグの口元は綻んだ。