あの日ふたりは夢を描いた
「並木?」

振り向いた先には、同じ高校の制服を着た色が白くて長身の男の人が、今買ったのであろう本が入ったビニール袋を右手にぶら下げて立っていた。


「…………えっと」

見覚えがあるからたぶん同じクラスの人だと思うけど、正直名前までは分からない。

どうしよう……と固まっていると私の困惑した心の声が通じたようで、

「あっ俺、同じクラスの真柄(まがら)。まだ名前と顔覚えてないよな。急に話しかけてごめん」

フランクにそう挨拶してくれた。

なんだかすごく感じのいい人、悪い人じゃなさそう。こんな私に対して丁寧に話してくれるし。
初対面で不思議とそんな感情を抱いていた。
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