あの日ふたりは夢を描いた

「きみ一人を笑顔にさせることなんて簡単なことさ。

だって、僕はアイドルだから」

そう言って百点満点のスマイルを私にくれた。

その笑顔が心に沁みて不安が溶けていく。それから彼は続けた。

「自分を卑下するような言葉、言っちゃだめだ。人に違いはあっても優劣はないよ」

私は鼻をすすりながら素直にうなずいた。そう思えるようになりたいと思ったから。

「……あなたといるといつも元気になれる。心が救われる」

「きみにとってそんな存在になれているなら本望だ」

また眩しい笑顔を向けられた。