あの日ふたりは夢を描いた
あぁ、私はこの人のことがたぶん……

そこまで出てきた気持ちを抑え込む。

「本当にアイドルなんだね。あなたを応援するファンの気持ちがよくわかる」

彼には大勢のファンがいて夢があって、伝えていいはずがない。

「ねぇ相馬くん」
 
「ん?」

「私、最近心に決めたことがあってさ、言ってもいいかな」

「なに?気になる」

ぱちくりさせる丸い目がワンちゃんみたいで、思わず笑ってしまいそうになる。

「……また、書いてみる」

「……え?」

彼の大きな瞳が私をとらえて急に心がドキドキし始めた。

だけどあの日みたいに、ちゃんと彼に聞いてほしい。
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