あの日ふたりは夢を描いた
僕はそれから親の反対も押し切り、秋には憧れのアイドルが所属する大手の事務所に履歴書を送り、卒業する前には練習生になっていた。

とんとんと事が運び、夢に一歩近づいたという感覚に胸が躍らされたことを今でも覚えている。

並木真白は僕に勇気をくれた人。

だけど、きみを一度泣かせてしまって本当に心が痛かった。

僕は自分よがりできみを傷つけた。

その日、レッスンを休んで通院の予定があった僕は、病院に行くまでに時間があったので彼女と図書室で過ごしていた。

正確に言うと図書室で彼女を見つけ、僕が勝手に一緒にいただけなのだが。
< 153 / 321 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop