あの日ふたりは夢を描いた
『……ところでさ、きみはまだ書いてるの?』

『……なんの話』

『何度も言わせないで。僕はきみを知っているんだ』

『……知ってるって、なにを?』

『また書き始めてよ、小説』

そう言ったとき、きみは本を読むのも止めてひどく驚いた顔をしてた。

『……あなたは、いつから私を知ってるの?』

『きみがみんなの前で夢を語ったあの日からさ』

『……あなたはあの場所にいたんだね』

『そうさ。あの日からずっと……』

ずっとずっと、きみに憧れていた。きみが僕を変えたんだ。そう伝えたかった。
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