あの日ふたりは夢を描いた
「真白、今日はいいことでもあったか?」

戸締りだったりレジ締めだったり、店の閉店作業をしていると叔父さんが話しかけてきた。

「えっどうして?」

「なんかいつもより表情が明るいから」

「……そう、かな。でも今日は、二人のクラスメイトと話ができた」

他の人からしたら馬鹿にされるかもしれなけれど、いつも一人ぼっちの私にとっては大きな出来事だった。

「そうか、よかったなぁ」

叔父さんは優しい笑顔で何度もうなずいた。

家族以外の人と会話をすることが日常にない私にとって、誰かが心に入ってきてくれることがすごく嬉しいのかもしれない。

一人が好きなわけじゃない、一人でいたいわけじゃない。
本当は私、誰かと親しくなりたいんだ。だけど、その方法がわからない。
< 16 / 321 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop