あの日ふたりは夢を描いた
書き進めたといっても、一通り物語を書き終えてからが大変で、見直しや手直しの作業があるので、完成にはまだまだ遠すぎる道のりだけれど。


「……これは本当にきみが書いたの?」

まだ全ては読み終えていないと思うが、彼は私を見てぽつりと呟いた。

あぁ、退屈に感じてしまっただろうかと、少し肩を落とす私。

「大したことなかったでしょ?やっぱりもっといろいろ勉強しないと駄目だね……」

「そうじゃない」

彼が真面目な顔をして私を見ている。

「ん?」

「きみはプロになれるよ。僕が保証する」

私は目を丸くして、彼からしばらく目が離せなかった。

見つめ合うその時間はやけに長く、我に返って視線を下に向ける。
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