あの日ふたりは夢を描いた
「……なに言ってんの。そんな文章なんでもないよ」

「僕がきみのファン一号になる」

「……ファンだなんてそんな、大げさだよ」

彼はまたスマートフォンに目を移し、続きを読み始めていた。

しばらく読んだところでまた顔を上げた彼。その瞳はなにか言いたげにこちらを見ていた。

「……ん?なにか変なところでもあった?」

数秒の間があった後、彼は言った。


「書き続けてほしい。この先なにがあったとしても」

急に儚げになったその表情に、私の瞳は不安で揺れていた。
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