あの日ふたりは夢を描いた
メッセージの着信音が鳴り、手に持っていたスマートフォンが震える。

『一緒に花火をしようか』

そのシンプルな文面は待ち焦がれていた彼からだった。嬉しくて顔がにやけてしまう。

『夏休みに入ってもきみに会いたい』

以前屋上でそう言われたけれど、実際彼は忙
しい人だし実現しないのではと思っていた。

花火か……
好きだけどもうずっとやってないなぁ。

小学生の頃、田舎のおばあちゃん家の前で家族や従兄弟と手持ち花火で遊んだのを思い出した。
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