あの日ふたりは夢を描いた
目立たぬように簡単な挨拶を交わし歩き始める私たち。

「花火、どこでやるの?」

「どこでって、僕の家の庭」

「えっ」

当たり前にそんなことを言う彼にぎょっとして、大きな声を出してしまった。

「二回目じゃないか。もう慣れただろ?それに一番人目につかない安全な場所だから」

それを言われたらなにも言えないよ……

「花火、もう買ってあるから」

「あ、ありがとう」

上手いこと彼のペースに乗せられた私は、いつの間にか到着していた家の門扉を通り抜けていた。
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