あの日ふたりは夢を描いた
アルバイトが終わり、帰りの電車に揺られながらぼんやり昔のことを思い出していた。

叔父さんの影響で小さい頃から本が好きだった。絵本をたくさんもらって、毎日寝る前にお母さんに読んでもらっていた。
小学生に上がると自分で図書館に通ったりしながら、いろいろなジャンルの小説を読み漁った。

本が好きなのは昔も今も変わらない。変わったのは私の性格だ。

車窓に映る私の顔はいつも冴えなくて、見るたびため息が出そうになる。

電車を降り改札を抜け、駐輪場で自分の自転車を回収する。

家に到着するまでの間はなにも考えず、夜の星を眺めながらたらたらと自転車を走らせる。
バイト帰りはこれが私の日課だ。
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