あの日ふたりは夢を描いた
たぶん今なにか言ったところで聞く耳を持たないだろう。
私は彼の特性を理解しつつあった。

「そうだなぁ。負けた人は、隠している秘密を話す!これでどう?」

「まぁ。いいよ」

諦めて素直にうなずく私。

「じゃあ準備はいい?」

「いつでも大丈夫」

線香花火の先端に、二人で同時に火をつけた。

ぱちっと音がして小さい火花が飛んだあと、それは徐々に大きくなっていく。

ぽたっと一気に落ちないで、徐々に小さくなって消えるように終わっていけばいいなぁ、そんなふうに思った。

罰ゲームが嫌だとかじゃなくて、最後なのに呆気なく終わっちゃうなんて、なんか寂しいから。
< 177 / 321 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop