あの日ふたりは夢を描いた
指が震えないように全身の神経を集中させて火花を見ていた。
……それなのに。
「真白」
なんていつも呼ばない呼び方で左隣から呼ばれたから、思わずそっちを向いてしまった。
……唇に、温かい感触があった。
それがキスだと気づいた頃には、線香花火の蕾はもう地面に落下していた。
「僕の勝ち」
彼がいたずらな笑みを浮かべている。
彼の線香花火だけが、まだ優しく火花を飛ばしていた。
それをただ見つめていたが、最後の最後までその蕾は落ちることなく、静かに消えていった。
……それなのに。
「真白」
なんていつも呼ばない呼び方で左隣から呼ばれたから、思わずそっちを向いてしまった。
……唇に、温かい感触があった。
それがキスだと気づいた頃には、線香花火の蕾はもう地面に落下していた。
「僕の勝ち」
彼がいたずらな笑みを浮かべている。
彼の線香花火だけが、まだ優しく火花を飛ばしていた。
それをただ見つめていたが、最後の最後までその蕾は落ちることなく、静かに消えていった。