あの日ふたりは夢を描いた
「さぁ、きみの秘密は?」

今起きたことがまるで何もなかったように平然と聞いてくる彼。


「……秘密」

あなたと目を合わせていたら、溢れる思いが込み上げてきた。

言っていいのだろうか。

……ううん、これは罰ゲームだ。だから仕方なく伝えるんだ。



「……好き。

あなたのことが好きです」

口から溢れるように出た言葉。
彼が目を丸くしたままなにも言わないので、私は少し膨れた。

「それが私の秘密。どう?ずるして勝って満足した?」

言い終えると同時に彼の方を向くと、また唇と唇が触れた。今度はすぐにわかった。

キスされたんだと。

唇が離れ、至近距離で目が合う。彼は私の両手を優しく握りしめた。

「僕も好きさ。きみのことが。


……もう。ずっと前から」

私はこの夏、恋を知ったらしい。
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