あの日ふたりは夢を描いた
夏休みの出来事を思い出し、恥ずかしくて顔が見れなかった。

「きみが隣?」

「……あ、うん」

「わぁ、願ったり叶ったりだ。よろしくね」

いつもの彼だった。夏休みのことなんて気にしていないような口調だったので、逆に安心する。

「うん、よろしくね」

意識しているのは私だけだ。私も今まで通り接しよう。

「ちょっとお二人さん。俺もいること忘れないでよ」

相馬くんの前の席に荷物を持って移動してきた吉浜くんがいた。

「尚、ここの席?」

彼は目をきらきらさせて吉浜くんを見ていた。

「ああ」

「わぁ。最高だなぁ、この席」

相馬くんが呑気に笑顔を振りまき、私と吉浜くんもそれにつられて笑った。
< 194 / 321 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop